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『亀も空を飛ぶ』 監督:バフマン・ゴバディ(2004年)★少女アグリンの瞳が投げかけたもの♪

懸賞 2007年 09月 19日 懸賞

『亀も空を飛ぶ』 監督:バフマン・ゴバディ(2004年)★少女アグリンの瞳が投げかけたもの♪ _c0222662_12405725.jpg

亀も空を飛ぶ/TURTLES CAN FLY
2004年・イラク/イラン合作映画
監督:バフマン・ゴバディ 出演:アワズ・ラティフ、ソラン・エブラヒム、ヒラシュ・ファシル・ラーマン、アブドルラーマン・キャリム、サダムホセイン・ファイサル、アジル・ジバリ

★『酔っぱらった馬の時間』『わが故郷の歌』のクルド人監督バフマン・ゴバディの2004年作品。手足のない少年たち、目の見えない赤ちゃん...これはドキュメンタリー映画ではないけれど、静かに訴える戦争映画として私の胸に突き刺さる。これは現実のこと...戦争の悲劇や愚かさ、野蛮さを想う。監督はこの現実と幻想のお話に登場する子供たちを3ヶ月かけて探し選んだそうだ。ただ手足のない子どもならその町を5分も歩けば見つかるとも。これが現実。クルド人の方々の生活を辛うじてこうした優れた映画のお陰で少しだけ知ることができる。そして、考えることはできるけれど、私には何もできはしない。日本の自衛隊も多くこの町に滞在している。お水などを補給しているそうだ...。健気な子供たち(手足がなくても笑うことを忘れてはいない!)、主役の少年は利発な子供。ただ独り、アグリンという少女に惹かれてこの映画を観た。一枚のチラシの彼女の視線の強さに惹かれたのだと想う。

舞台となるのはハラブジャというところ。サダム・フセインが科学兵器を使って5000人のクルド人を殺害した土地だった。この少女アグリンはその為に両親を失い孤児となってしまった。彼女には両腕のないヘンゴウという兄がいる。彼らクルド人の子供たちは身を守る為には自ら武器を手にしなくてはならない。また、生活する為には散乱する地雷を集めて売るのだ。アグリンの小さな背中よりも大きな籠の中には地雷がいっぱい。そして、この11.2歳位だろうかという少女の背中には2歳の赤ちゃんがいる。その赤ちゃんは目が見えない。衝撃的すぎる!この赤ちゃんは兵士にレイプされて産まれた子。まだ小さな少女の意など此処には無い。淡い恋をする時間も無い。無邪気に笑い過酷な毎日を過ごす体の不自由な少年たちと違い、アグリンは一切笑わない。この少女に残されたものとは何だろう...!私のような人間、幸せな子供時代を送ったとしか思えない者に、彼女の気持ちは分かりはしないだろう。でも、このような映画を知り得たことを嬉しく思う。私の好きな戦争映画は、このような戦争の合間の子供たちや人々を描いたものが多いように思う。何故、こんな目に遭わなければならないのだろう...これは、ただ可哀相だという次元ではなく、大きな権力や暴力、力に対する非力な者の今なのだ。思春期など無く大人になってしまうかのような、儚き子供たち。

「私はまたある意味で、これは子供たちに関する映画ではない、とも信じています。これは子供時代を持たないまま、大人にならざるを得なかった若者たちについての映画なのです。ヨーロッパなどの地域の大人たちが決して知ることのない苦しみを、この子供たちは彼らの短い人生で経験しているのです。」と監督は語っていた。このアワズ・ラティフ(撮影当時11.2歳位でしょうか)はこの映画が初出演だけれど、今後も女優の道をと監督は願っているそうだ。是非そうであってほしい☆

by musiclove-a-gogo | 2007-09-19 12:20

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