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サントラ 『ロシュフォールの恋人たち』★そして、クリスチャンヌ・ルグランとスウィングル・シンガーズ♪

懸賞 2010年 10月 01日 懸賞

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★(サントラ 『ロシュフォールの恋人たち』 音楽:ミシェル・ルグラン(MICHEL LEGRAND) そして、ジャック・ドゥミ監督のミュージカル三部作とクリスチャンヌ・ルグランの歌声の素晴らしさ)を『リリスの館』にて更新いたしました。

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60年代初頭から活動を始めていたコーラス・グループのスウィングル・シンガーズ(Swingle Singers)のリード・シンガーであったクリスチャンヌ・ルグラン(ミシェル・ルグランの姉)は、ジャック・ドゥミ監督のミュージカル三部作と云われる『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』『ロバと王女』のいずれにも参加されている。ルグラン一家は音楽一家なのですが、本当に素晴らしい方々だあ~!と思います。

フランス映画の名作は映画の歴史でもあるのでしょうが、フランス贔屓の私でも思うのは、「ミュージカルの少なさ」。そこはアメリカ映画がやはり本場であるということも、ジャック・ドゥミ監督がジーン・ケリーやジョージ・チャキリスを招いての『ロシュフォールの恋人たち』であることに、何か美しい映画への愛を感じてしまいます。フランスの大女優であるダニエル・ダリュー以外はすべて吹き替えなのですが、以前もこの映画のお話の記事に書いたのですが、ジーン・ケリーの歌声も聴いてみたかったなあ...と欲張りな思いを抱いてもいます。

音楽が流れると、「あっ、あの場面!」とうっとりできるのって素晴らしいと思います♪
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by musiclove-a-gogo | 2010-10-01 11:10 | シャンソン・フランセーズ

『テナント 恐怖を借りた男』 監督・主演:ロマン・ポランスキー原作:ローラン・トポール『幻の下宿人』

懸賞 2010年 08月 27日 懸賞

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テナント 恐怖を借りた男/LE LOCATAIRE
1976年・フランス/アメリカ合作映画
監督:ロマン・ポランスキー 製作:アンドリュー・ブラウンズバーグ 
原作:ローラン・トポール 『幻の下宿人』 脚本:ロマン・ポランスキー、ジェラール・ブラッシュ 
撮影:スヴェン・ニクヴィスト 音楽:フィリップ・サルド
出演:ロマン・ポランスキー、イザベル・アジャーニ、メルヴィン・ダグラス、シェリー・ウィンタース、ジョー・ヴァン・フリート、ベルナール・フレッソン、リラ・ケドロヴァ、クロード・ドーファン、エヴァ・イオネスコ、ジョジアーヌ・バラスコ

★ロマン・ポランスキー監督の拘束というニュースが届いたりするけれど、私はポランスキー映画が大好き!日本公開、ソフト化された作品はいつの間にか自然とほぼ網羅していると作品データを眺め知る。ミア・ファロー主演の『ローズマリーの赤ちゃん』、ナスターシャ・キンスキー主演の『テス』で知り好きになり、様々な作品が壮絶かつ屈折した監督人生の中で製作されている。どれも好きなのだけれど、やはりカトリーヌ・ドヌーヴ主演の『反撥』にも似た空気を感じるけれど、主人公が追いつめられてゆく心理サスペンス的なお話となると、この『テナント 恐怖を借りた男』も素晴らしい名作だと思う。ポランスキー自ら主演で、とても主人公にピッタリ!と思ったもの。まだお若き頃のイザベル・アジャーニも出演されているのも嬉しかった。また、アパートの管理人役のシェリー・ウィンタース、同じ住人の少女役でエヴァ・イオネスコも少しだけ登場する場面も印象的。

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私は個人的に一人暮らしの経験がないのだけれど、マンション生活という体験を得た中で、特に都会のど真ん中で約10年程の経験は今もなにかしら尾を引いているように思う。それまでの家族と一緒の家、隣近所の人たちとの生活に慣れていたせいか、一人でマンションに居る時、あるいは近くで大きな物音がしたり、間違ってチャイムを鳴らす方が居たり、挨拶をしても反応がなかったり、隣人方のお名前も知らないとか...こういうことは今は当たり前のようだけれど、私はとても嫌だった。幾人かの友人のお話でも、やはり大きな音を立てないように神経をピリピリさせながらの生活をされたことがあるという。この主人公トレルコフスキー(ロマン・ポランスキー)も新しく引越してきたアパルトマンで、謂れのない苦情や嫌がらせのようなことをされる。次第に神経過敏になるのは当然だろう!そして、この部屋の前の住人の女性は窓から飛び降り大怪我を負った上に亡くなったのだった。その女性の残したお洋服などもそのまま。奇妙なことに壁からはその女性のものと思われる歯が見つかったり...。窓から覗くといつも人の姿があるのもゾクっとする場面でゴシックホラーっぽくもある。次第にその死んだ女性に同化してゆく様、隣人達のあたかも舞台の観客のような道化の姿を嘲笑う声。妄想なのか現実なのか観ている私も曖昧になる。原作のローラン・トポールの『幻の下宿人』でも大筋は似ていたように記憶する...トレルコフスキーの女装し破滅に向かってゆく様、滑稽かつ緊迫した不条理な世界。未公開映画ながらポランスキーの70年代名作の一つだと思う。

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【あらすじ】
古びたアパートに空き部屋を見つけたトレルコフスキー(ロマン・ポランスキー)は、前の住人が窓から飛び降り自殺を図った事を聞かされる。彼はその女性-シモーヌを病院に見舞い、そこで彼女の友人と名乗るステラ(イザベル・アジャーニ)と知り合う。やがてシモーヌは死に、その部屋に越してくるトレルコフスキー。部屋にはまだシモーヌの痕跡がそこかしこに見られ、壁に開いた穴の中には彼女のものと思われる一本の前歯が隠されていた。そして、向いの窓には奇妙な人物の佇む姿もあった。不安な中で始まる新生活。わずかな物音でも隣人から苦情が発せられ、口うるさい家主(メルヴィン・ダグラス)と無愛想な女管理人(シェリー・ウィンタース)もトレルコフスキーにとって脅威となっていく。やがてタバコや飲み物といったトレルコフスキー自身の嗜好も変化し、彼は周囲の人々によって自分がシモーヌに変えられていく事を感じ始めていた。被害妄想は次第に膨れ上がり、ある夜、その妄想は現実と化す……。(引用:allcinemaの解説より)

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by musiclove-a-gogo | 2010-08-27 11:23 | 音楽・映画・文学★美しい関係

『望郷』(1937年)監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ主演:ジャン・ギャバン宿命の女:ミレーユ・バラン♪

懸賞 2010年 08月 17日 懸賞

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望郷/PEPE-LE-MOKO
1937年・フランス映画
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ 原作:ロジェ・ダシェルベ 脚本:アンリ・ジャンソン、ロジェ・ダシェルベ 撮影:ジュール・クリュージェ 音楽:ヴィンセント・スコット 出演:ジャン・ギャバン、ミレーユ・バラン、リーヌ・ノロ、リュカ・クリドゥ、ルネ・カール、マルセル・ダリオ

★原題である「ペペ・ル・モコ」とはジャン・ギャバン演じる主人公の名。邦題の「望郷」とは美しい宝石や香水で身を纏ったパリからやって来た美女ギャビー(ミレーユ・バラン)によってペペ・ル・モコの故郷を思慕であり、男と女の運命的な出会いによる哀しいドラマ。パリからやって来て2年のペペ・ル・モコはカスバではボスであった。けれど、このカスバとは、アルジェリアの首都アルジェ郊外の城塞都市。そこはスラム化した町で、訳ありの人たちが流れ着く場所でもあり、ジャン・ギャバン扮するペペ・ル・モコもパリを追われてやって来たギャングだった。カスバは当時はフランスの植民地であったけれど、アルジェリア独立運動、迫り来るナチズムの脅威など暗雲の空気に溢れた時代。重苦しく悲観的な空気と異国情緒が不思議な閉塞感を画面から放つかのよう。カスバとは「砦」という意味を持つという。そんな砦の町は「牢獄」のようでもある。ジュリアン・デュヴィヴィエ監督は「ペシミズム(悲観主義)表現の監督」と呼ばれていたそうで、本国フランスより日本での評価の方が当時は高かったと読んだことがある。

パリの香りを全身から漂わせるギャビー(ミレーユ・バラン)の美しさが私には忘れられない作品で、ミレーユ・バランの出演作品はこの一作しか鑑賞していないのだけれど、美しき宿命の女ギャビーとして永遠なのだ!ペペ・ル・モコはギャビーを追ってパリに出ると決める。それは明日無き恋であり運命の時でもある。成就などするはずはない。ペペ・ル・モコの逮捕の契機を待つスリマン刑事(リュカ・クリドゥ)、情婦イネス(リーヌ・ノロ)の夢と裏切り、少年やライバルたち...皆魅力的である。殊にスリマン刑事とペペ・ル・モコには「追う者と追われる者」ならではの奇妙な友情めいたものがある。この辺りは後々ジャン・ギャバンが見せてくれる「フレンチ・フィルム・ノワール」の幾つもの名作の中で描かれてゆく私の好きなテーマ「男の美学」を見るようである。

ペペ・ル・モコが最後に「...ギャビー!」と叫ぶ声と船の汽笛の音はやはり観る者の記憶に深く焼きつく名場面なのだろう!こうした「メロドラマ」もまた愛してやまない私。ミレーユ・バラン演じるギャビーは「悪女」とは思わないけれど、やはり一人の男(ペペ・ル・モコ)にとっては宿命の女、ファム・ファタルであったと遥か彼方の二人を思い浮かべ、知りもしない異国、時代に夢とロマンを馳せる♪
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by musiclove-a-gogo | 2010-08-17 23:45 | 音楽・映画・文学★美しい関係

『美女と野獣』(1946年)監督:ジャン・コクトー原作:マダム・ルプラン・ド・ボーモン(ボーモン夫人)♪

懸賞 2010年 08月 05日 懸賞

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美女と野獣/LA BELLE ET LA BETE
1946年・フランス映画
監督・脚本:ジャン・コクトー 製作:アンドレ・ポールヴェ 原作:マダム・ルプラン・ド・ボーモン(ボーモン夫人) 撮影:アンリ・アルカン 美術・衣装:クリスチャン・ベラール 音楽:ジョルジュ・オーリック 技術顧問:ルネ・クレマン 出演:ジャン・マレー、ジョゼット・デイ(ジョゼット・デエ)、マルセル・アンドレ、ミシェル・オークレール、ミラ・パレリ

★ジャン・コクトーは大好きなのですが、初めて観たジャン・コクトー監督の映画はこの『美女と野獣』でテレビ放送でのこと。中学生頃の事で、カラー世代ゆえにモノクロームの映像に今ひとつ馴染めないでいたのだけれど、偶然にも近い時期に衝撃的なモノクロ映画に出会うことができた。まだそれらの作品をひとつも取り上げてはいないのでそろそろ(すべてフランス映画)。ジャン・マレーというギリシャ彫刻のような美男の俳優を知ったのもジャン・コクトー作品からである。お話は子供の頃に読んでいたので大筋は知っていたのだけれど、1時間半程の間、テレビ画面に吸い込まれていたように想う。映像の魔術にすんなり魅了されてしまった。その時に1946年の映画だということなんて知らない。そんな古い映画を観ているとも感じず「美」に圧倒された!というしかない。

原作の『美女と野獣』は、イギリスで1757年にマダム・ルプラン・ド・ボーモン(ボーモン夫人)が『子どもの雑誌』あるいは『子どもたちの宝庫』に纏めたものの中に収められたお話。前年の1756年にフランス語で出版されていたそうだ。ボーモン夫人は1748年から1761年の帰国までの英国滞在、とりわけ子供たちの教育事業に打ち込んでいた時期であり、40冊程の作品を書き上げ、後に傑作と謳われる作品たちは、このロンドン滞在時に書かれたものである。このお話は「妖精物語」とも云える「おとぎ話」。この原作をジャン・コクトーは自ら脚本を手掛け、とんでもなく美しい、幻想的かつ優美な詩的映画として世に出されたもの。

最強のスタッフが揃っていることに今だと気づく。技術顧問あるいは撮影アシスタント的な役割をルネ・クレマンが担当している。あの『禁じられた遊び』を監督する以前の1945年(この年に『美女と野獣』の撮影開始)。また、美女ベル(ジョゼット・デイ)に求婚する乱暴者の青年アヴナン、野獣、王子の三役をこなすジャン・マレー。コクトーはこの美しきジャン・マレーのために構想を練ったと云われるもので、アンリ・アルカンのカメラワークがさらにマレーの美を際立たせている。コクトーはアンリ・アルカンに「画家フェルメールの光の使い方で撮ってほしい」と注文したという。そして、ベルや野獣の豪奢な衣装を始め、神秘的でファンタジックな野獣のお城などの美術担当はクリスチャン・ベラール。以前からコクトーの舞台美術なども担当してきた画家であり、ファッション・デザイナーでもあるコクトーの旧友である。さらに、ジョルジュ・オーリックの音楽も私はいつも相性の良さを感じているお気に入りの音楽家のお一人だし、ベル役のジョゼット・デイの神々しさも焼きついたまま。ジャン・マレーとジョゼット・デイは『恐るべき親達』(1948年)でも再び共演された。

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~魔法がとかれ元の姿に戻った美しい王子役のジャン・マレーです。嗚呼、麗人♪~


私はボーモン夫人の原作もジャン・コクトーの映画も大好きなので、かなりの偏愛作品について今想いを軽く綴っています。ディズニー映画にもなっているし、お話は多くのお方がご存知だと想いますが、映画の簡単なあらすじも記しておきます。

【あらすじ】
三人の娘を持つ商人が旅の途中、無人の古城に迷い込む。庭園のバラの花を摘むと、野獣が現れ、花盗人の命をもらうと脅したが、娘のうち一人が父の身代わりになるなら許すと言う。家に帰って父が話すと、末娘のベルが城行きを志願。会ってみれば野獣は心優しかった。父の病を知って帰宅を望むベルを家に帰し、一週間して戻らなければ悲しみに自分は死んでしまうと言う。一方、ベルを慕うアヴナンは野獣を殺し、その宝を奪おうと森に入る。ベルは魔法の鏡に彼女の不在を嘆く野獣を見て、急ぎ森に帰った。城に侵入したアヴナンは彫像に背中を射抜かれ野獣と変わり、逆に野獣が彼そっくりの王子となった。ベルと王子は見つめ合い抱擁し、そのまま天高く舞い上がり飛んで行った……。(引用:allcinemaの解説より)

(追記)
★「大好きな映画監督VOL.4 ジャン・コクトー:JEAN COCTEAU」を『BRIGITTE通信★美とロマンの憂愁庭園』にて、更新いたしました♪


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by musiclove-a-gogo | 2010-08-05 19:17 | 音楽・映画・文学★美しい関係

大好きな女性写真家★サラ・ムーン(SARAH MOON)♪

懸賞 2010年 07月 24日 懸賞

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★「サラ・ムーン(SARAH MOON)の写真を眺めていると夢の時間を彷徨できる」を『クララの森・少女愛惜』にて

、そして『夢の宝石箱 VOL.2』 「サラ・ムーンの世界を初めて知った頃」を『BRIGITTE通信★美とロマンの憂愁庭園』にて、少し綴ってみました♪


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by musiclove-a-gogo | 2010-07-24 08:02 | 音楽・映画・文学★美しい関係

『仁義』ジャン=ピエール・メルヴィル~男達の美学~『ギャンブル・プレイ』原作:メルヴィル『賭博師ボブ』

懸賞 2010年 05月 02日 懸賞

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仁義:LE CERCLE ROUGE
1970年・フランス映画 
監督・脚本:ジャン=ピエール・メルヴィル 撮影:アンリ・ドカエ 音楽:エリック・ドマルサン
出演:アラン・ドロン、イヴ・モンタン、ジャン・マリア・ヴォロンテ、ブールヴィル(アンドレ・ブールヴィル)、フランソワ・ペリエ、ポール・クローシェ

★運命の輪の如く、偶然BS放送で『仁義』を観た。大好きな映画!なので、もう英語版も含めると結構観ている。生きている間、またこうして観るだろうからきっと50回は観るような気がする(回数はどうでもいいのだけれど)。最初はアラン・ドロンがお目当てだった。勿論、ここでもカッコイイ。そして、イヴ・モンタンの渋さにゾクゾクしてからはモンタン中心に観る時期があった。今もやっぱり、モンタン、渋すぎるくらいにカッコイイ!ブールヴィルもフランソワ・ペリエも、ジャン・マリア・ヴォロンテも...みんなカッコイイ!

こうして、私は「カッコイイ!」ばかり連発してしまう。でも、それぞれのカッコ良さで同じではない。この映画の主要な役の中で、アラン・ドロンは一番お若い。モンタンは一回り以上年上だし、ブールヴィルは遺作だと思う。そして、この名優さま達は他の作品でも共演作が繋がっていて、考え出すと楽しくなるのでノートに書き出してみたりしていた。嗚呼、愉快!もうお一人、ポール・クローシェという名脇役を忘れてはならない!私。フランスのフィルム・ノワールと呼ばれる名作には多数出演されている。でも、主役はアラン・ドロンやリノ・ヴァンチュラだったり、シモーヌ・シニョレやアニー・ジラルドという名女優さまの脇にいる。でも、脇役が一流だとさらに良いわけで...。もう、楽しくって何を書いてるのやら。

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ジャン=ピエール・メルヴィル!この監督は役者としても結構登場されるけれど、このブルー・トーンな映像とストーリー(脚本)は大好き。『サムライ』も『影の軍隊』...も全部。でも、『仁義』はモンタンのあのアル中の震える手、落ちぶれた元刑事。でも、男同士の計画。ここぞ!という時に見事な射的。そして、この1970年という好きな時代に既に中年のモンタン。ペリエもそうだけれど、あのお顔の皺が実に素敵なのだ。私は自分が年を重ねたという事もあるのだけれど、最近皺の渋さに見とれてしまう。大女優のジャンヌ・モローはもうその最高峰だろう。リヴ・ウルマンもいい。もう少しお若いお方だとヴァネッサ・レッドグレーヴ、シャーロット・ランプリングさま...。嘗てはヘルムート・バーガーさまをお目当てに観た『コードネームはエメラルド』。その主演のエド・ハリスがここ数年で私の中で大ブレイクを起こしている。見る度に皺が深く刻まれるトミー・リー・ジョーンズとか。

この『仁義』という邦題は日本人なので分かり易い。原題は赤い輪、運命の宿命の赤い輪。この5人の男達の「仁義」な美学。分け前は要らない(自分との決着をつけたかっただけだと。きゃぁ~素敵★)とモンタン(ジャンセン)!でも、最後まで見届けるからとドロン(コリー)と車で向かう。死を共にすることになるのだけれど。ヴォロンテ(ヴォーグル)は最後近くに「何故、黙っていたのだ。」とブールヴィル(マティ刑事)に訊かれ「仁義だ。」と一言語る。フィルム・ノワールの巨匠のお一人とされているメルヴィルが残した脚本を元に、2002年に『ギャンブル・プレイ』としてニール・ジョーダン監督で映画化された。この映画も大好き!な訳が後から判明。脚本がメルヴィルだもの~!って。ニック・ノルティが落ちぶれたギャンブラー。何か企んでいるぞ?!と追う刑事がチェッキー・カリョ。この追われる男と追う男、実は何か友情で結ばれている。そういう演技はこうした渋い役者でないとカッコ良くはない。そう、エミール・クストリッツァ監督も金庫破りの仲間のお一人として出演していて嬉しい。色々思いついてしまうけれど、繋がっているので楽しくてしかたがない。フランスの脚本がイギリスやアメリカ、ドイツやユーゴの映画人達によって甦った。すっかり、めちゃくちゃな取り留めのない内容を一気に綴っているのだけれど、忘れてはいけないなって思う、もう一つの素晴らしさ。『仁義』の事だけれど、音楽も絶妙!エリック・ドマルサンによるジャズが実にクール。そして、宝石店に押し入り逃亡するまでのあの静寂さ。台詞がない!ドロンもヴォロンテもモンタンも喋らない。勿論、ハラハラさせる効果音もない。あの台詞のない緊張感にドキドキさせられる。絵になる男達でないとあの長さは持たないだろうと思う。と、贔屓目いっぱい!で文句無しの名作を堪能した。また、直ぐにでも観るかも♪

『ギャンブル・プレイ』 監督:ニール・ジョーダン 原作:ジャン=ピエール・メルヴィル

ギャンブル・プレイ:THE GOOD THIEF
2002年・イギリス/フランス/カナダ/アイルランド合作映画
監督:ニール・ジョーダン 原作:ジャン=ピエール・メルヴィル 『賭博師ボブ』 出演:ニック・ノルティ、チェッキー・カリョ、エミール・クストリッツァ、ナッサ・クヒアニチェ、レイフ・ファインズ、ジェラール・ダルモン、サイード・タグマウイ

★チェッキー・カリョとエミール・クストリッツァが出てると知り観たのだけれど、とっても気に入ってしまったもの。主役のボブはニック・ノルティ。あのしゃがれた声とお年を召され深みを感じるお方だと再認識。友人にファンの方が居るのだけれど、私はようやく彼が好きな理由が少し分かった気がした。男性から見てどこか渋さを感じさせるようなお方に思う。この原作はフィルム・ノワールの巨匠ジャン=ピエール・メルヴィルの『賭博師ボブ』だと後から知り、”カッコイイ"筈だと納得したり。このもう賭博から足を洗おうと決めた中年ボブ。しかし、仲間のトラブルなどもあり、最後の大仕事をカジノで決行する。脇役も私には豪華過ぎて、これは多分笑ったりする場面ではないだろう...と思いながらもクスクスしたり(特にエミール・クストリッツァ監督なのだけれど)、レイフ・ファインズは画商役で騙され損する、そして、長年ボブを追う刑事ロジェのチェッキー・カリョ!このお方、お年を召される毎にダンディというかハンサムだけれど屈折した素敵さで超ミーハー気分で観てしまう。また、このボブとロジェは追われ追う立場ながら、どこか友情めいたものがある。もう、そういうの大好き!なので大満足。 若いヒロイン役のアンを演じるナッサ・クヒアニチェがまた可愛い♪ドイツ人で可愛い容姿とはギャップの個性的な太めのお声。最後は夜明けをボブと一緒に歩いてゆく...エンディングではニック・ノルティの歌声も。犯罪ものだけれど、香る男のロマン。どうした訳かたまらなく好き♪

※上の「仁義」は4年程前に書いたものです。「ギャンブル・プレイ」も同じ頃で、ちょっと此方に纏めて覚え書きしておこうと想います。「また、直ぐにでも観るかも」と書いていましたが、この4年の間にまた2度観ました。イヴ・モンタンは歌手としても俳優としても大好きなのですが、嘗てよりさらにモンタンが好きな私です。モンタンの歌のこと、映画のこと、アラン・ドロンの主演作...好きな作品ばかりなのでまた此方に拙文を記します。それにしても、上のモンタンのお姿!素敵過ぎ☆
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by musiclove-a-gogo | 2010-05-02 12:55 | 音楽・映画・文学★美しい関係

『アパートメント』ジル・ミモーニ監督~シャルル・アズナヴール『今ぞ、この時』~『ホワイト・ライズ』♪

懸賞 2010年 05月 01日 懸賞

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アパートメント/L' APPARTEMENT
   1996年・フランス映画
監督:ジル・ミモーニ 脚本:ジル・ミモーニ、ピラール・トマス=ジメネス 撮影:ティエリー・アルボガスト 音楽:ピーター・チェイス 出演:ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ、ロマーヌ・ボーランジェ、ジャン=フィリップ・エコフェ、サンドリーヌ・キベルラン、エヴァ・イオネスコ

★書こうと想っている映画は溜まる一方。これも随分前になるけれど『ホワイト・ライズ』を観て、『アパートメント』を観直した時の印象を。『ホワイト・ライズ』でのジョシュ・ハートネットはなかなか好きだった。ダイアン・クルーガーが好きなので観たのだけれど、ハリウッド・リメイクながら結構愉しめたもの。でも、『アパートメント』を久しぶりに再見すると、やはりこちらの方が断然面白くトリックも結末も悲愴感を残し好きだと再確認した。このフランス映画の『アパートメント』の共演を機に、ヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチはご縁が出来ご夫婦となられたのだったと想う。今観ると、みんなお若い!ロマーヌ・ボーランジェ扮するアリス役が実はとても複雑で重要な役。そんな点も『ホワイト・ライズ』の方では違った感じ(リメイクなのだから同じではないのだけれど)。このDVD化のジャケットにも当時のビデオにも表紙に登場しないリュシアン役のジャン=フィリップ・エコフェも重要な役。私はこうしたややこしい展開のサスペンスは好きなのだけれど回転が鈍いので、幾度も観ないと理解できない。よって、これで『アパートメント』は3度観たことになる。秀作だと想う!エヴァ・イオネスコがちょこっと空港の受付で出演しているけれど、このお方はやはり少女時代が良い★

『アパートメント』の劇中で、効果的にかつ印象深く使われている楽曲は、シャルル・アズナヴールの『今ぞ、この時』(名曲!)。『ホワイト・ライズ』では英米のインディーシーンの楽曲たちが多く流れていたけれど、私の大好きなマジー・スターの『フラワーズ・イン・ディセンバー』も使われていてこれはとても嬉しかった!!

それにしても、最近のアメリカ映画はリメイクが目立つように想うのだけれど、音楽だってカバー曲が目立つのと同じなのだろうな。良い作品は受け継がれてゆくものなのだと想う♪

★《アパートメント》の主要な役柄とキャスト★
マックス役:ヴァンサン・カッセル 
リザ役:モニカ・ベルッチ 
アリス役:ロマーヌ・ボーランジェ 
リュシアン役:ジャン=フィリップ・エコフェ 
ミュリエル役:サンドリーヌ・キベルラン 

★《ホワイト・ライズ》の主要な役柄とキャスト★
マシュー役:ジョシュ・ハートネット
リサ役:ダイアン・クルーガー
アレックス役:ローズ・バーン
ルーク役:マシュー・リラード
レベッカ役:ジェシカ・パレ

ホワイト・ライズ/WICKER PARK
   2004年・アメリカ映画
監督:ポール・マクギガン 脚本:ブランドン・ボイス 撮影:ピーター・ソーヴァ 音楽:クリフ・マルティネス 出演:ジョシュ・ハートネット、ダイアン・クルーガー、ローズ・バーン、マシュー・リラード、ジェシカ・パレ

●アパートメント 【VHS】 1996年・フランス映画 (shop BRIGITTE)
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by musiclove-a-gogo | 2010-05-01 00:02 | 音楽・映画・文学★美しい関係

『にんじん』 監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ 主演:ロベール・リナン 原作:ジュール・ルナール♪

懸賞 2010年 04月 04日 懸賞

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にんじん/POIL DE CAROTTE
1932年・フランス映画
監督・脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ 原作:ジュール・ルナール 撮影:アルマン・ティラール、ティラール・モンニオ 音楽:アレクサンドル・タシスマン
出演:ロベール・リナン、アリ・ボール、カトリーヌ・フォントネイ、ルイ・ゴーチェ、クリスチアーヌ・ドール、コレット・セガル、マキシム・フロミオ、シモーヌ・オーブリ

★ジュール・ルナールの原作もジュリアン・デュヴィヴィエ監督の映画も大好きな『にんじん』。なので、原作と映画が結構頭の中で混合してしまうので覚え書き...。すっかり夫婦仲の冷めてしまった後に生まれた次男のフランソワは「にんじん」と呼ばれている。赤毛でそばかすの多い少年ゆえに。母親は実子でありながら、この少年にだけ、愛情を持てない不幸な女性。長男のフェリックスを非常に可愛がり、長女のエルネスチヌにも優しい。不思議な位に「にんじん」を目の敵にしているのは、夫との愛情とのバランスからかもしれない。原作は特に淡々と簡潔な文体で、かつ鋭敏な観察眼で描写される。この小説はジュール・ルナールの体験(半自伝的)からのお話らしい。

原作より出番の多い映画での少女マチルドとの場面が好き。「にんじん」ことフランソワとマチルドが結婚式ごっこをする場面。音楽を奏でるのは名付け親であるおじさん。このおじさんと少女マチルドは「にんじん」が好きだし彼の笑顔が見れる人たち。もう一人、女中アネットの存在も欠かせない。母親が少年を何度も打つ場面がある。「にんじん」の楽しみを次々と奪い取るし、彼にばかり用事を押し付ける。そんな様子を見兼ねてアネットは主人のルピック氏に真相を話す。これは正しいのだと思える。親が子を必要以上に体罰(折檻)を与えすぎると虐待となる。その様子を知る大人が見て見ぬふりをしてはならないと!村での人望は厚いルピック氏は家では存在感がなく、ろくに会話もしない。あの食卓風景がよく表現している。そんな家族をさらりと描く。ユーモラスにも想える軽妙さは素晴らしいのだけれど、終盤、「にんじん」は池で死のうと考える。少女マチルドに告げると、「池は汚ないし、冷たいわ」と。「結婚できないのは寂しいわ」と語るあの言葉にトキメク!なぜならば、小さなマチルドは”結婚”ということも、”死ぬ”ということも理解していない心で語るので。けれど、彼女に納屋で死ぬということを告げたので、マチルドはおじさんに話す。そして、ルピック氏は息子の死を救うことができた。何も分かっていない少女マチルドは天使のような存在である。二人が花冠をつけて遊ぶ場面はモノクロながら鮮やかに映る♪
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そして、ようやく父と息子の心が通じ合う。父は「フランソワ」と呼ぶ。「にんじんは死んで生き返ったんだ」と。フランソワは父が好きだったけれど、母親が大嫌いであることを告げる。すると、ルピック氏は「わしがママを好きだと思っているのか?」と。その言葉を聞いたフランソワの眼差しは輝き、笑顔が表れる。「これからは二人は仲間だ」とお食事をし、フランソワは「ルピック氏」ではなく「モン・パパ」と云った。当たり前のことに想うのだけれど、複雑なこうした環境は多々あるだろう。

フランソワ少年を演じたロベール・リナンは、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『我等の仲間』や『舞踏会の手帖』にも出演されている。『シュヴァリエの放浪児』、またマルク・アレグレ監督の『家なき児』は未見なのでいつか観てみたいと想う。けれど、22歳で死去されてしまった時代というのは運命なのか...。また、ルピック氏役のアリ・ボール、おじさん役のルイ・ゴーチェ共に素晴らしい俳優方であり、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の他の作品にも出演されている。※上の挿絵はフェリックス・ヴァロトンによるもの。

★ジュール・ルナール(Jules Renard:1864-1910)はジュウル・ルナアルとされているものもある。外国語の日本語表記は難しい。この自然主義文学とも作風は異なり、なんとも異色の作家と思えるジュール・ルナールの『にんじん』は私が生まれる以前から家の本棚に並んでいた。『少年少女世界文学全集』の「フランス編」の中に。私はというと、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の映画『にんじん』を観たことで、この作家の原作とようやく一致した。ジュール・ルナールの『にんじん』が刊行されたのは1894年。児童文学の中にも入るけれど、年少の子供たちがそのまま読むとかなり怖い場面も多い。暗鬱であり残酷なのは執拗に折檻する母親の姿や無味乾燥な家族の情景だけではなく、にんじんことフランソワ少年の姿にも。作者であるジュール・ルナールの半自伝的な作品ということながら、ルナールは自らの少年時を美化するでもなく描いている。でも、それらの子供たちの姿は普通なのだとも思う。子供は純粋ゆえに残酷なことをしたり云ったりする。

1887年から1910年頃に執筆されたという膨大な『日記』がルナールの死後発表された。これはフランス文学史を少しばかり受講していた折に知ったこと。その日記の全貌は知らないけれど、ルナールの実の父親が病を苦に自殺されたこと、母親もその後井戸に落ちて亡くなっている(事故か自殺とも定かではないようだ)。こうした「事実は小説より奇なり」なことに時々遭遇してはゾクっとする。ルナールの描き方は淡々としていて簡潔。けれど鋭敏な洞察眼が魅力。その視線を見事に、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督は脚色し映像化されたと思う。

にんじんを演じるロベール・リナンも素晴らしい!レジスタンスという時代にリナン自身は身を投じ22歳の若さで死に至る。それまでに、『にんじん』以外でもジュリアン・デュヴィヴィエ監督作品の『我等の仲間』(1936年)、『シュヴァリエの放浪児』(1936年)、『舞踏会の手帖』(1937年)、またマルク・アレグレ監督の『家なき児』(1935年)にも出演されていた。『シュヴァリエの放浪児』と『家なき児』は未見なので観てみたいと思っているけれど...。

私は今のところ、やはりフランス文学とフランス映画を多く読んだり観たりしてきたよう。”フランス”だからと目くじらを立てて読むのでもなく観るのでもない。そう云えば音楽もやはりフランスの音楽は好きである。意識しなくても気になり興味があるから心が向かうのだろう。長い歴史のフランスという国の残した文化遺産のようなものたちに。その中に、私の好きな「美」が山のようにあるのだから。知らないことだらけなので、まだまだ興味は尽きない。

そんなことで、このルナールの同時代に同じジュールという名の作家がお二人浮かぶ。ジュール・ヴァレス(Jules Valles:1832-1885)とジュール・ヴェルヌ(Jules Verne:1828-1905)である。それぞれ勿論趣は異なるけれど、ヴァレスは自伝小説を書いている。小説家でありパリ・コミューンの闘士でもあったというお方。また、ヴェルヌは最も有名かも知れない。『海底二万海里』(1870年)や『80日間世界一周』(1873年)など、並外れた科学知識と空想力、ドラマティックなお話は人間ドラマであり文明批判をも含むもの。ルナールにしてもヴェルヌにしても、児童文学作家でもあるけれど、其処に留まるものではない。世界中の多くの優れた児童文学及び作家がそうであるように。
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by musiclove-a-gogo | 2010-04-04 07:49 | 音楽・映画・文学★美しい関係

『冬の旅』(1985)監督:アニエス・ヴァルダ 歌:レ・リタ・ミツコ(Les Rita Mitsouko)『Marcia Baila』

懸賞 2010年 03月 08日 懸賞

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冬の旅/SANS TOIT NI LOI
 1985年・フランス映画
監督・脚本:アニエス・ヴァルダ 撮影:パトリック・ブロシェ 音楽:ジョアンナ・ブルゾヴィッチ 
出演:サンドリーヌ・ボネール、マーシャ・メリル、ステファン・フレイス、ヨランド・モロー、パトリック・レプシンスキー、マルト・ジャルニアス

★原題は「屋根も無く、法も無く」あるいは「ヴァガボンド」。美しく詩的な映像で始まる寒い冬の南仏の木々。アニエス・ヴァルダ監督のナレーションが聞こえる。その中で、少女モナは”海からやって来たのかもしれない”と。凍てつく寒さの中海で泳いでいる。この18歳の少女の死を映し出し、彼女に出会った人々の証言たち。彼等はモナが死んだ事を知らずに語ってゆく。初めて観た折の私は正直モナを好きになれなかった。ヴァルダの作品はそれでも美しく、また、モナの何かが私に記憶され続けていた、今も。年月を経て、今想う事はモナの反抗、自由、孤独の中に見る崇高さのようなものに憧れる。イデオロギーに反発するのでもなく、モナは失うものを持っていない。それは孤独と表裏一体。「孤独」や「自由」って何だろう...人は誰もが孤独ではないか。でも、モナの孤独は死を持って崇高さを獲得したようにも想う。私は「自由」というものを真剣に求めたことなどない。育った環境や教育、モナの年の頃はバブルな時代を過ごしていた。また、私は「失いたくないものがある」。それ故に、社会との鬩ぎ合いの中でバランスを保ちながらどうにかこうにか生きている。ちっぽけな私の愛する王国のために。人生は苛酷なものであるという前提にそれでも、空を見上げることを忘れたくはないと。蒼い幻想...。

アニエス・ヴァルダは激動の時代を体験して来たお方。60年代という!この映画の中でプラタナスは重要。アメリカからやって来た菌に侵されたプラタナスは後30年で朽ちてしまうという(ドアーズの音楽が使われている)。それを放っておいてはいけないと研究している独身の女性教授ランディエ。証言の中で、彼女はモナを置き去りにしたことを後悔し、助手にモナを探して連れ戻すように依頼している。けれど、終盤、助手はモナを駅の構内で見つけるけれど、ランディエ教授には見つけたと言わなかった。彼は当初から、モナの汚れた髪や衣服、悪臭を敬遠していた。教授は寛容で「もう慣れたわ」と語っていた。私もモナと知り合えたら慣れていただろうか...。毎日幾度も手を洗う癖のある私がモナの垢だらけの指を我慢できただろうか(けれど、これは、単なる私の病理的なことに過ぎないのだ)...。複雑な想いが巡る中、それでもこのモナは光の少女として映る。美しいとも想う、このアンビバレントな気持ち。きっと、私には持ち合わせていない「自由」を持つ少女が羨ましくもあるのかもしれない。

それにしても、ヴァルダというお方は強靭だ。純粋無垢な少女として敢えて描いてはいない。モナは行きずりの男性と共に過ごすし、少女の汚れた爪を映し出す。女性監督ならではの感性、と言っても様々なのだと幾人かの女性監督が浮かぶ。私は映画を娯楽として愉しみ、また、多くのことを学び思考を強いられ苦しくなることもある。この作品はそんな一つ。サンドリーヌ・ボネールは撮影当時このモナと同い年位の頃。素晴らしい女優さま!

モナは旅を選んだ。路上には、日常的な暴力があり、飢えと渇き、恐怖、そして寒さがある。彼女はそれを生き凌ぎ、何事が起ころうと、誰に出会おうとも意に介さない。私自身、彼女にひどくぞんざいにされた。が、それだけいっそう、彼女の孤独に胸をうたれる。
- アニエス・ヴァルダ -

このお言葉にあるラスト「私自身、彼女にひどくぞんざいにされた。が、それだけいっそう、彼女の孤独に胸をうたれる。」を読み、私は涙に溢れた。救われた気がした。上手く心を綴れないけれど。

※この上下の2つは、以前「映画ブログ」と「クララの森・少女愛惜」に書いたものです。

★当時よりも今も気になるというのか心に何かが突き刺さったまま...そんな作品は『冬の旅』なのです。アニエス・ヴァルダが好きだし、さらに少女モナを演じているサンドリーヌ・ボネールがとても好きです。可能な限り作品を追っています。この『冬の旅』はドキュメンタリー風のロードムービー。18歳の少女が寒い冬の南仏で行き倒れたところから。冒頭から映し出される映像は美しく詩的です。最初と最後は四重奏の音楽が流れます。この少女モナに感情移入できない私がいながらも、羨望のような想いがあったのかもしれません。1985年の作品ですが日本公開は1991年。私は社会人となっていましたが、今よりももっともっと物質的な環境に恵まれて日々を過ごしていました。衝撃を受けたのだとは思いますが感動した映画とは思っていませんでした。

マーシャ・メリルという素敵な女優さまも出演されていますが、大半がその土地の人々にヴァルダが台詞を伝えて語っているのです。その人々はそれぞれ個性的です。盲目の老女が出演されます。そのお方と意気投合するモナのシーンが好きです。劇中、もっともモナの素敵な笑顔が見れるシーンです。深いテーマの映画ですので、また観たいと思いますが、大好きな場面は変わらないでしょう。車のラジオから音楽が流れモナの表情が和らぎリズムに揺れるのです。レ・リタ・ミツコの「Marcia Baila」♪この映画と同じ1985年(1984年の1stアルバムからの3rdシングル)のヒット曲です。私はレ・リタ・ミツコが当時から大好きです。2007年にご主人でもあるフレッド・シシャンが癌で亡くなってしまって哀しいのですが、いつまでも彼等の曲を忘れないだろうし、これからもカトリーヌ・ランジェのあの素晴らしい歌声を聴き続けるでしょう。やはり、多感な時期を過ごした80年代という時代は色々な思い出が連なり今も大切なもののようです。

この『冬の旅』の中にはもう一つの忘れ難い音楽が登場していました。「パッション・フォッダー(PASSION FODDER)」というフランスのニュー・ウェーブ・バンドです。彼等の前身は「オーケストル・ルージュ(ORCHESTRE ROUGE)」という少し変わったネオ・サイケ風のサウンドでした。ここのリーダーはアメリカ在住で後に、「ノワール・デジール(NOIR DESIR)」との交流などもあります。フランスにもロックはあるのです。なかなか英語圏でのヒットとなると難しいのですが...。「テレフォン」というカッコイイ!パンク・バンドや、「プラスチック・ベルトラン(プラスティック・バートランド)」も良いです。ああ、またタイムスリップしてしまいました♪


※この映画の中でとても印象的に流れるLes Rita Mitsouko(レ・リタ・ミツコ)のMarcia Bailaです♪

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by musiclove-a-gogo | 2010-03-08 11:51

『ビリティス』(1977)監督:デヴィッド・ハミルトン音楽:フランシス・レイ原作:ピエール・ルイス♪

懸賞 2010年 03月 04日 懸賞

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★ピエール・ルイスの『ビリチスの歌』を原作に、脚本はカトリーヌ・ブレイヤが担当している。カトリーヌ・ブレイヤというと女性監督でもあり『本当に若い娘』が浮かぶ。とても好きな作品でもないけれど少女や思春期を扱った作品は気になるので観てしまう。この映画『ビリティス』が好きかと尋ねられたなら「好き!」と即答する。英国ロンドン出身のファッション・カメラマンとして既に有名だったデヴィッド・ハミルトンの映画初監督作品。恋愛関係にもあった美しいモナ・クリステンセンを重要なメリサ役で登場させている。主人公の16歳の少女ビリティス役には当時20代半であったパティ・ダーバンヴィル。アメリカ出身の女優さまで主役はこのビリティス役しか知らない。脇役では70年代~80年代の作品で幾つか観ているけれど、最近は全く知らない。冒頭から前半辺りまでただただうっとり♪とソフト・フォーカスな美麗な映像、寄宿舎の少女たちの可愛らしさ、お別れの日の舞台で台詞を言えないビリティス、お花の冠にギリシャ神話の乙女たちのような白いお衣装、水色の制服と白いソックス...流石に隅々まで繊細な拘りを感じさせるもの。少女同士の戯れの中、カメラを持った青年ルカに恋をするのだけれど、その気持ちには戸惑いがある。思春期の少女の性に対する恐怖心というのか、男性への思慕と同時に抱く気持ちなのだ。お話のストーリーよりもその時期の少女の心のひだを美しい映像で綴る。

ルカ役はデビュー作であるベルナール・ジロドー。実は結構好きな男優さま!知ったのはダニエル・シュミット監督の『ヘカテ』を劇場でドキドキしながら観た時。それ以降『リリィ』までほとんど追っている、何故だか。しかししかし!!ここからは多くの『ビリティス』の映画がお好きなお方と観る箇所がズレているようなのだ。なぜなら、謎の美青年ニキアスとして大好き!!なマチュー・カリエールが登場するので☆もう可愛い少女たちも軽く吹っ飛んでしまう位に大好きな男優さま。いつから好きかというと(訊かれてもいないけれど)、これまた大好きなデヴィッド・ボウイさまが当初演じる予定だった『エゴン・シーレ』を観た時から。リバイバル上映も含めると3度劇場で観ている。そして、可能な限り出演作品は追っている。ベルナール・ジロドーとは後に『地獄の暗号指令』でも再び共演している。その中では主人公はベルナール・ジロドーで、マチュー・カリエールは上司の役だった。ニキアスも両側に男性を侍らせて素敵に登場される役柄だったけれど、ここでもゲイの役(他にもあるけれど)だった。私なりに今もこれからも色々な映画を観続けると想うけれど、このような男優さまは他にはおられない!ヘルムート・バーガーさまの美しさとも違う。知的で繊細すぎる程!容姿のみならずお声も好き。オーバーアクションも知らない。最近は流石にお年を召され主役が減ったけれど、まだ現役で嬉しい。あの冷たい美麗さはどんな役柄でも絵になるのだ。お名前が書かれてあれば観たいと想う男優さまを「男優館」で少しずつ挙げているのだけれど、好きな男優さまというと必ず指折りに入るお方でとっても大好きなのだ。データを調べる折にチェックさせて頂くIMDBというデータベースに『欲望の華』があったけれど、ウィレム・デフォーとレナ・オリン目当てで観たけれどマチュー・カリエールのお姿はなかった...おかしいなあ?と想い再見したけれどやはり出演されていなかった。かと想うと、あまり観たいと想っていなかった『嵐の中で輝いて』に出演されていると知り観るとほんの一瞬、素敵なお姿がリーアム・ニーソンと一緒にドイツ人将校の役で出演されていた。エンドロールで上の方にお名前があったので、見逃していたのかともう一度観てみたけれど、やはりほんの一瞬だけのご出演だった。こんな調子ですっかりと『ビリティス』のお話から逸れ、マチュー・カリエールのお話がまだまだ続いてしまう私♪

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『ビリチス(ビリティス)の歌』 ピエール・ルイス:PIERRE LOUYS (訳:鈴木信太郎)
★19世紀末から20世紀初頭に生きたピエール・ルイス(1870~1925)。以前、耽美派小説を読み耽っていた時期がある。大好きな澁澤龍彦氏の作品群に浸り、生田耕作氏が推奨されるものや翻訳された作品の中でこのピエール・ルイスというフランスの高踏派詩人として、また耽美派作家が気になり作品を幾つか読んだ(絶版で未読のものもある)。最初は『女と人形』(生田耕作コレクション)として。まだ80年代の10代の折のこと...そして、ルイス・ブニュエルの遺作『欲望のあいまいな対象』の映画を観たのも近い時期。そして、すっかりブニュエルにハマる!当時ビデオの定価は高かったのだけれど幾つか購入した(今も大好きな映画たち)★また、これらの映画のお話や感想も追々に(長生きしなくては果てしない)♪そして、この映画化の際に邦題が改定されて出版されたことを知る。そして、今度は文庫で読み再読していたばかり。翻訳は飯島正氏のもの。『私の体に悪魔がいる』と言うものや『女とあやつり人形』という邦題もある。さらに後に成りマレーネ・ディートリッヒの『西班牙狂想曲』も原作は同じだと知る。他にも映画化されているので、このピエール・ルイスの小説の存在の大きさを想う。今の感じではピエール・ルイスの作品ではこの作品が一等好きなのかもしれない。

でも、それ以前に出版されていた散文詩集の『ビリチスの歌』(1894年)。偶然は必然なのだろうなあ~と想えるのは、この時期の私はかなり読書時間が一日の比重として大きく、これらのフランス文学や神話や妖精に関する御本たちを毎日読んでいた。そして、音楽熱も高まっていた時期でもありアルバイトのお給与を頂くとたちまちに消えてゆくのだった。二束三文で古本屋さんに売ってしまって後悔しているものもあるけれど、今も私の好きな大切な世界にそれらの存在は無くてはならないものなのだと痛感している。随分年月は経てども変らない好きな世界を想うと幸せなのだ。また、今もまだまだそんな人生の過程なので、観たり読んだり聴いたりお話したりすることは、私の心の糧となりさらに深まるのだろう。”好き”という言葉は安易に使いすぎて自分でもはて~?と想うことがよくある。でも、私の好きなものたちの中でも、おこがましい様だけれど”好き”という感覚から”無くてはならないもの”、あるいはずっと胸に抱きしめているもののような気持ちになれることが嬉しい☆

『ビリチスの歌』は古代ギリシャに魅せられ続けたピエール・ルイスの架空の物語。たいそう巧妙なので読んでいるとすっかりまるで”ビリチス”という女性が神話の世界に存在していたと想ってしまうのだ。なので、おかしな具合になるのだけれどこういうロマンティックな幻想は好きなので愉しい。順序からすると、先ずピエール・ルイスの『ビリチスの歌』(訳:鈴木信太郎氏)、そして、フランシス・レイが映画『ビリティス』の音楽を担当したのでそのレコードでサントラを聴いた(正確には母が持っていたポール・モーリアの『映画音楽のテーマ集』で先に聴いていたので、このお花の冠姿の少女たちのお写真はハミルトンのものとも知らずに可愛い!と見ていたのだと後に判明)。そして、映画はずっと後になって観ることができた。デビッド・ハミルトンの長編映画としての第一作に当るものながら、版権の問題なのか他の作品はDVD化されているけれどこちらはまだ...『デヴィッド・ハミルトンBOX』として発売して下さると嬉しいなあ♪と、今は最初に発売された『ビリティス』と、後に『柔らかい肌 禁じられた幼性』(『ビリティス』で良いではないかと想うけれど)と改題され発売されたビデオを幾度か観ている。けれど、原作の方がさらに好きであるということは今も変らない。挿絵も好きだし、何よりもそれらの詩たちの世界が大好き!なので関連する作品も読み比べてみたりしている。とりわけお気に入りの詩篇たちは訳者も様々とあるので、また少しずつと想う。

この『ビリチスの歌』の主人公ビリチス(ビリティス)は先述のギリシャの女性詩人サッポー(サッフォー)の存在を識っていた(ビリチスの誕生は紀元前6世紀初頭とされている)。また、父の存在を知らぬ少女ビリチスは同じ年頃の少女ムナジディカとの悲歌を30篇程残している。彼女は美徳も悪徳も備えていたけれど、美徳しか知りたいとは思わないとも(全てピエール・ルイスによる創作なのに)。そして、年老いたビリチスが幼き少女時代の清純、成年期の濃艶な同性愛、後期の頽廃した遊女生活を回顧し、思い出を伝記として綴ったもののようなお話。まるでギリシャの女流詩人ビリチスがサッポーのように存在したかのように想えてしまう...実に素晴らしい☆

ささやかなこの古代恋愛の書は
未来の社会のうら若い女性たちに
恭々しく献げられる

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※この絵は、ピエール・ルイスと同じ時代を生きたハンガリー生まれの画家ウィリー・ポガニー(1882~1955)の『ビリティスの歌』(1926年)より♪

『人形』 ピエール・ルイス 『ビリティスの唄』より 訳:伊東淑子 イラスト:宇野亜喜良

『人形』

わたしは彼女に人形を一つ与えた
ばら色の頬をした蝋人形
その腕は 小さな釘でとめられて
脚はといえば 折りたためる

わたしたちが一緒にいるとき
彼女は人形を 二人の間に寝かせる
それは ふたりの子ども
夜ともなれば 彼女はその子を揺りかごであやし
寝かせるまえに 乳房をふくませる

彼女は人形に 小さなテュニックを三枚織ってやった
そして アフロディテの祭りには
宝石をふたりで贈った
花束も添えて

彼女は人形の貞節に気を配り
一緒でなければ 外へも出さない
とりわけ 太陽の光にはあてさせない
小さな人形が 蝋の雫になって溶けるから

★19世紀末のまだ若き才人ピエール・ルイスが書いたギリシャの女流詩人ビリティス。いまだに巧妙なトリックにかかったままであったりする私。しかし、これはピエール・ルイスの翻訳でもなく偽書であり、架空の物語。でも、そのお話は21世紀を生きる私が愛する世界であるということに我ながら慄く!お人形を愛する気持ちと少女の同性愛の瞬。その後の悲痛な唄もあるけれど、この訳は好きなもののひとつ。表紙や挿絵が宇野亜喜良氏であったこと、翻訳者の中に女優の岸田今日子さんのお名前があったもので飛びついた御本。古い翻訳の雰囲気がより好きではあるけれど、この御本も時折取り出して読んでいる。ああ、少女ムナジディカも愛おしい☆

※『ビリティス』というテーマはとても大好きで広がってゆく。まだまだ追記予定なのですが、今までに書いた関連するものを纏めました。自分で、何を書いたか、書いていないのか...とよく分からないもので。読み返すと修正したい箇所もありますが、その時の想いということでほぼそのままです。

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by musiclove-a-gogo | 2010-03-04 11:25 | 音楽・映画・文学★美しい関係

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