★キャプテン・ビーフハート&ザ・マジック・バンド(CAPTAIN BEEFHEART & HIS MAGIC BAND)というと、フランク・ザッパの盟友であり、デルタ・ブルースからサイケデリック・ミュージック、アートロックにアヴァンギャルド...な稀有なる孤高のアーティストとして今も残された作品たちは色褪せない。私がキャプテン・ビーフハートのレコードを聴き始めたのは20代前半頃。当店主がフランク・ザッパのレコードを色々持っていたので、一緒に中古盤屋さんに行った時にコーナーの横にある「キャプテン・ビーフハート」が気になり始めた。店主はその頃はザッパの方を愛好していたようだったので、私がビーフハート担当となってゆく。担当と云っても、レアなアルバムは貸してもらっていたけれど。そして、ずっと後になって知ったことながら、その頃、既にビーフハートは音楽業界から引退され、本名のドン・ヴァン・ブリートとして画家となっていた。ザッパにしろビーフハートにしろ、当時の日本盤の邦題はユーモアいっぱいで愉しいものだった!特にザッパはその曲名の可笑しさだけで聴いてみたくなるのだった。
ニュー・ウェーヴ大好きでありながら、隠れプログレであった私は、所謂「レコメン系」の音楽をたいそう愛好しており、そんな時期に知り得たキャプテン・ビーフハートであったもので、何の躊躇いもなくすんなりと「凄い!」「なんだろう!このリズムは!」とか狂喜乱舞していた。邦題に『美は乱調なり』と題されたアルバムは80年代の作品で、60年代から活動されてきたベテランのビーフハートながら、そのサウンドは私にはニュー・ウェイヴでもあったように思う。スラップ・ハッピーやヘンリー・カウたちの音楽(「反体制派ロック」とも呼ばれていた)然り、またフランスの音楽に関してはシャンソンからポップから前衛まで聴いてしまうのだけれど、反体制派ロックやアヴァンギャルド・シーンを担ってきたお国と云えばフランスだと思っている。各国入り混じっているのだけれど、60年代にアート・アンサンブル・オブ・シカゴと共演したブリジット・フォンテーヌの『ラジオのように』は今もジャンルを越えた名盤と謳われる。同時期に前衛ジャズのアメリカのアーティスト、ブラジルのアーティストたちを紹介していたのもフランスであった。この辺りの好きな音楽のこともまた追々にと思う。
さて、キャプテン・ビーフハートですが、このお方のヴォーカルが好き!ビーフハートというと変わり者でしょうが、音楽もまたサイケで奇怪で難解な代物というようなイメージが先行していて手に取るチャンスを逃されてしまっているのでは?と思ってみたり。確かに大いなる変わり者で、愛しき変人であるのでしょうが、シンガーとしての優れた楽曲も実は多いのです。恐るべし!YouTubeに私の大好きな曲のライヴ映像がありました!画質も結構綺麗でなんだか感激してしまいました。その曲は『THIS IS THE DAY』で、発表は1974年のアルバム『Unconditionally Guaranteed』に収録されていた曲で、ベスト盤等にも収録されています。
キャプテン・ビーフハートは時々アルバート・フィニと似ていると思うのですが...。音楽産業に馴染めずに苦悩されていた時期があったそうですが、この曲はそんな時期の名曲の一つでもあります。また、キャプテン・ビーフハートはジョー・ストラマーのアイドルでもあったお方。パンクやニュー・ウェイヴというシーンに多大な影響を与えたお方のお一人でもありましょう!
CAPTAIN BEEFHEART/THIS IS THE DAY
※女性ヴォーカル好きでシャンソン・フランセーズ好きの私がキャプテン・ビーフハートも好きだと可笑しいかもしれません。ところが、何の不思議もないと思っています。音楽とはカテゴライズし得ない不思議な繋がりを持っているのですから。フランク・ザッパのバンドに居たエイドリアン・ブリューがデヴィッド・ボウイのバンドのリード・ギターとして加入した70年代後期。そして、幾度も解散と復活を繰り返しながら活動し続ける王者キング・クリムゾンの現在のメンバーでもあります。また、スティーヴ・ヴァイというカッコいいギタリストがミーハー的に好きなのですが、彼もまたザッパのバンドで活躍していた時期があります。こんな薀蓄も積もるくらい、好きな音楽を聴き続けています♪